「ちいさなもみのき」
マーガレット・ワイズ・ブラウン さく バーバラ・クーニー え
かみじょうゆみこ やく 福音館書店
あしが悪くて外にでられない男の子のために、
おとうさんが、むすこにぴったりのもみのきを森からかついできました。
おとこのこは、生きたみどりの木がそばにいてくれることがうれしくて
たくさん飾りを施し、よいかおりを放つもみの木とともにあたたかくすごしました。
春になると、もみの木は森へかえされ、少しずつ大きくなって、
また雪の季節におとこのこの部屋ですごすようになるのでした。
しかしある冬、いつまで待っても、あたりはしんとしずかで、
もみの木をおとこのこの部屋に連れて行ってくれるひとはあらわれないのでした。
もみの木にとって、おとこのこたちとすごすクリスマスなしでは
このよはただおおきく、つめたく、からっぽにみえるのでした。
そこにあらわれたのは......。
サーモンピンク、ブルーグレー、クリームがかった緑、黒の4色をつかった、
この本の絵、どのページもたまらなく好きです。
表紙の、カンテラの灯りや子供達の背格好から感じる雪の中のあったかさ。
見返し部分のもみの木の愛らしさ。
針のようにほそい筋目で表現される繊細な抑揚。
こどもたちの歌声の素直さが伝わってくるような表情。
森のりすやうさぎや鹿たちのかわいいこと、
(雪のうえにつけられたうさぎの足跡ったら!)
おとこのこの部屋のぬくもりは、
「おやすみなさいおつきさま」のお部屋に似た神聖な空気をかんじます。
家の中、そして外で子供達に飾られたもみの木、とっても素敵です。
「うまやのクリスマス」と同じ、
マーガレット・ワイズ・ブラウンとバーバラクーニー。
やすらぎに満ちているはずです。
お話の途中にクリスマスのうたがはいるので、
読んでやっていてもたのしい気持ちになるなあ、と思っています。
2008.12.18
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