山本容子さんの銅版画展に行く。

といってもうちから車で15分程のところにある住宅街の中。
出版&美術企画をされている御夫婦の自宅を兼ねた建物で。

こんにちわー、と入ると、
どうぞー、と奥様がスリッパを用意してくださる。
案内された2階には小さなギャラリースペースがあって、
作品50点あまりが展示してある。
婦人公論をかざった女シリーズや、
エンジェルズティアーズや。
「ファウスト」や、大好きな「デューク」などの著作の展示もある。

それにしても、
その御自宅がとても素敵だった。
ほおずきの照明オブジェ、ボーズのステレオ、
白の陶器が品よく並べられていて、
ネジ巻きのおもちゃや、
ひびのこずえさんのハンカチーフ、
「昨日会ってきた」という(!)奈良美智さんの絵がプリントされたロンパース、
などなど、さりげなく置いてある。

中でも玄関に飾ってあった山本容子さんの'75年の作品に
しばし見入ってしまった。
ばんそうこうがいちめんに描かれたもの。
そしてきりふきが、水を吹き出しながら一面に描かれたもの。
最近作にみられる壮大で、優雅な印象とはぜんぜんちがう。
おどけているようで、遊びごころが感じられ、
その自由さ、若さ、楽しさに、胸が踊る。

素敵な御夫婦の空間で、お茶まで飲んできてしまった。

なんとわたしはここに、
楓太をおんぶし、
暴れる胡桃をだっこしてお邪魔したのだった。


胡桃がいろいろいじるのを必死で押さえ付けていたのを、
オーナー御夫妻は内心ひやひやして見ていらしたに違いないのに
あたたかく、優しく迎えてくださった御夫婦に、
感謝のことばがつきない....。

お孫さんが産まれたばっかりだそうだからかな。
美術にゆったりと触れる時間は、子育て主婦にはまず、無い。

美術にひたったというより、
作品と一体となった御夫妻の空間に呑み込まれてきた感じ。

いろんな意味ですごく元気になった展覧会だった。
今度は胡桃を預けていかなくては。


2001.7.


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