久しぶりに、ひとりで東京に行くことになったので、
絵本やさんめぐり決行。
思いもかけず、編集者の陽子さんの最強ガイド付き贅沢散策となった。


原宿で降りて、『cafe SEE MORE GLASS』へ。
オーナーさんの集めた1,000冊以上の絵本は、どれも年期が入っていて、
長年読み継がれている絵本の、実直な姿のように見えた。
玄米カレーを食べた。あったかい味がした。
お店の中に、著名な方の絵がところせましと飾られているのだけれど、
その中に埋もれていた二つの絵惹き付けられた。
まるで大理石の上に細い線で削られて描かれたような、繊細な作品。
以前その画風の絵はみたことがあった。
素敵だと心の片隅で感じていたのだけれど、作者の名前も知らなかったものだった。
その方は「植田真」さんというのだ、と後で陽子さんに教えていただいた。


外にでると、思ったよりも風が冷たかった。
颯爽と歩く陽子さんに必死についていきながら、『クレヨンハウス』へ。
たくさんの絵本、洋書が、とても見やすくカテゴライズされていて、
こういう場所が近くにあるなら、なんていいだろう、と思った。
胡桃も必死におぼえた‘じゅげむ’の絵本原画も展示されていた。
2階はおもちゃ。3階は女性の視点からセレクトされた本や雑誌が並ぶ。
圧倒。


駅にもどる途中では、同潤会アパートがとりこわされているところだった。

吉祥寺に向かう。久しぶりの満員電車。


にじ画廊』へ。
雑貨アーティストまえをけいこ。さんの新刊「ひゃっこちゃん」の絵本原画展を観た。
まっかなりんごがいっぱい。
かわいいなあ。くすぐったくなるくらいかわいい。

すっかり外も暗くなってきて、『トムズボックス』へ。
オリジナルの冊子がたくさん並んでいるのに触れて、
小さいお店ながらも作家さん(有名な方、若い方問わず)の力に溢れているのを感じた。
石倉ヒロユキさんの「ナミダ鼠」の展覧会も。
私達がいる間だけでも、売り込みがあり、作家さんが訪れていたり。
ここを発信地として沢山の絵本作家の方が活動されてきたのだろうと思った。



***

一気に絵本やさんめぐりをして、気持ちがいっぱいになって、はたと
自分と‘絵本の世界’との位置について考えた。

絵とことばの合作であるひとつのかたち。
紙の感触。色の表情。絵と絵のつなぎ目から生み出されるメッセージ。
でもわたしの感じている『絵本』というものの魅力は、
そこで完結してしまうのではなくて、
読んだり、読んでやったりすることの繰り返しから生まれる新たな世界感、の方にある。



次の日ふたたびクレヨンハウスに寄って、
ずらりと並ぶ書棚の中から、厳選して(笑)数冊選んで買った。
お布団の中で読んでやったら子供達がどんな顔をするかな、と思い浮かべながら。



2004.1.16



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