「さつまのおいも」
中川ひろたか・文 村上康成・絵 童心社
村のじいちゃんばあちゃんが焼いてくれる焼き芋をはじめて食べたとき、
お外で落ち葉の中で焼かれたお芋はこんなに甘くなるものか、と感激したものだ。
同じ村の中ながらも、違う地区に引越してしまったというのに、
今年も焼き芋にさそってくれてうれしかった。
落ち葉を集めて芋を焼く。
白いけむりが真っ青な空に登っていく。
山の上での焼き芋は格別だ。本当にきもちがいい。
眼下にひろがる紅葉のじゅうたん。
焼き上がったお芋を割ると湯気がたちのぼり、中は綺麗な黄金色。
ほんとうに「しあわせー」とおもう。
さつまいもさん達が、この『さつまのおいも』で描かれたように
土の中ではみんな家族同然で、にぎやかに楽しく暮らしていたかと思うと楽しくなる。
秋の実り。
にぎやかな色の山肌。
空は青くすがすがしい。
季節を感じるとき、
深呼吸して、ココロの中はほわーんとしてしまう。
中川ひろたかさんと村上康成さんのコンビが作る絵本に共通する
ほのぼのとした「間」は、
そんなテンションにぴったりとはまってしまう。
自然で、むずかしくなくて、わざとらしくなくて。
そのまんま、という感じ。
実はそれらって「こども」という存在にイコールな気がする。
毎年この季節、この絵本を読んでやっている。
フウタは「おいもってほくほくちてるんだよ」と保母さんに熱く語るらしい。
2003.10.23「おおきくなるっていうことは」
中川ひろたか・文 村上康成・絵 童心社
むずかしいコト投げかけるなあ、と思うのだけど
読み進めると本当に簡単なことで、
でもその単純さが妙にしっくりきてしまう。
物事をあんまりむずかしい風に受け止めたくないなあ、と最後には反省してしまう
不思議な力を持った一冊。