「わたしのおうち」
かんざわとしこ・さく やまわきゆりこ・絵 あかね書房



だんボールのはこでつくった『わたしのおうち』で、
料理をつくったり、動物達をむかえいれたり、
すっかり自分にうっとりしているのは、まるで胡桃。

その『おうち』を横目でながめて、
いたずらをしかけ、おうちをこわし、
おねえちゃんにおこられるおとうとは、まるでフウタ。

わたしにとってあまりにリアリテイのある空気感を持ったおはなしです。

わたし自身、小さい頃、
アパートのベランダに段ボールのはこを長くつなげて、
しばらくここで暮らそう、と思ったりしたことがありました。
ひとつのへやにはようふくをおいて、
ひとつのへやにはほんをおいて、
電気がないからどうしよう。ごはんはもってきてもらって、
トイレのときはしかたないから家に入ろう、とか...。
思いは果てしなく続くわけで。

転校、転校の生活になると、
自分の机まわりを飾るのが大好きでした。
どの場所でのコーデイネイトも、懐かしく、大事な場所だったと思います。

自慢の『わたしのおうち』のなかで、
もりの動物達をもてなしながら、とびきりはりきっているおんなのこは、
(きっと声もいつもより何トーンか高いはず)
どこか世話やきで、そう、きっと
いつもおうちにいて、ごはんをつくったり、
じぶん達のお世話をしているおかあさんに、なりきっているのね。

やまわきゆりこさんの絵の中では、ぐりとぐらももちろんですが、
食べ物が本当にかわいらしくて、いいにおいがしてきそうに描かれている。
そして、野の草花(クローバーや、たんぽぽや、カラスノエンドウや)が、
とても丁寧に描かれているところが好きです。
トランプをしているうさぎが座っているソファの椅子のボルドー色は、
めずらしい色使いなのでは...。新鮮でした。

ところで胡桃は、自分のおもちゃなどどうでもいいような片付け具合ですが、
近頃モルモットのおうち作りにいそしんでおります。



こどもも11ひきおります。
寝るお部屋のドアには「もるもとのおうち」とかんばんがかかっています。
おやつのふくろや、かまぼこの板などもひそかに使っています。

作っているときの集中力たるや、
完全に胡桃ワールド。
モルモット一家のおかあさんになりきっているようです。



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