「ねこのかあさんのあさごはん」

どいかや 著 小学館


今まで布団にもぐりこんで読む絵本には、
静かで音のない夜の空気を求めていたような気がする。
しかしこのにぎやかな本。
ねこのかあさんが作るあさごはんの一週間が、
ねこの家族の朝食の様子とともにつづられる1册だけれども、
胡桃が読み終わった後にかならず、
「この本おもしろかったね」というのである。

そのうちわたしは、
ねこのかあさんの作るあさごはんを見ていて、
「目が覚めた朝のことを思いながら眠るしあわせ」に気付いた。
「けさのごはんはなーにかな?」
台所の気配を感じながら起きるって、
なんて豊かなこと!

わたしにとって、あさごはんは、
豊かな暮らしの象徴。
ひとりで下宿している時、近所に住むおばが
「明日の朝食に」といって、パンとレタスとハムを届けてくれたときは、
大きなカルチャーショックを受けた。
ダンナの実家ではじめてあさごはんをいただいた時は、
ずらりと並ぶお惣菜や焼き魚やごはんの共にえらく感激したものである。

すっかり作る側の現在、
ダンナはごはんに味噌汁、焼き魚定食、
胡桃はメープルシロップかけのパン、
フウタはおにぎり、と見事に好みが別れている母泣かせの家族。
ひとりひとりに作り分ける程の優しさはとても持ち合わせていないので、
平日はほとんどおにぎりなことは、ゆるしてね....。

それにしても、朝のテーブルを家族で囲むって、
幸せなことだ、と
ねこの一家をみているとつくづく思うのである。



03.04.11.



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