牛乳パンの味
山の家に暮らしていたとき、同じ地区の方はお年寄りの方がほとんどで、
草刈りなどちょっと歩いては休憩となり、朝7時集合でもおそろしく時間がかかる。
終わっても地区のセンターに集まってお茶の時間となるので、一日がかり。
日頃畑仕事に忙しいみなさんの憩いの時で、楽しみにしているのだろう。
そういう時配給されていたのが、決まって、
「ちくわ」と「牛乳」と「牛乳パン」。
あれこれ言ってはいけない。これはこの地区のお年寄りの文化である。
(年度末の地区の会計会議でちくわ代でもめていたときには、主人も唖然としていたが....。)
牛乳パンとは、スライスした四角いパンの間に白いクリームが挟んであるアレである。
昔ながらの味ということか。村の商店には随時牛乳パンがずらりと並んでいる。
村の商店はなかなかおもしろい。お菓子類はかりんとうや黒棒や黄金飴とか、
いわゆる茶色系の年代モノのお茶菓子が圧倒的に売り場を占めている。
村の有線放送でも、商店の特売のお知らせが流れている。
商店のお祭りのときなどは、お年寄りでごったがえす。
レジで次の順番がくるまでが長い。支払いも長い。話もおそろしく長い。
でもお年寄りが元気で、お年寄りの憩いの場があるというのは、
今のご時世、大切なことだと思う。
村は合併が決まっているのだが、このスローな“村の時間”はどう変化していくのか、と思うと、
全国規模で合併を推進している「国」も罪作りなものだと思ってしまう。
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昨日、わたしの作ったパンを食べていた主人が、
「これ牛乳パンの味がする」とつぶやいた。
...........。
わたしのパン作りもなかなか年期がはいってきて、
こねている時の手の感覚で粉や水の状態を加減できるようになっているし、
オーブンの温度や焼き加減も、日によっての変化をつかめるようになっているのだけど、
うーん、やっぱりドライイーストには限界があるような気がしている。
やっぱり天然酵母のふくよかな風味と、
フランスパンに近いような噛みごたえのあるパンが作りたい....。
クルミを混ぜてごまかしてみる。笑
2004.12.1.