酒井駒子著 偕成社




夜に歩いて外に出なくなった。

木々に囲まれている我が家は街灯もないので、
山の夜はひたすら深い。
寒くなって、生き物のひそむ気配すら感じられず、
ただただこわい。

幼い頃はいつもこうだったかもしれない。
暗くなったら世の中は静かになって、
電気を消すともう色はなくなってしまって、
しん、としていて、
ひとりぼっちになった。
布団のあたたかさだけが体を守ってくれる。
そして吸い込まれるように眠る。
目をあけたときには、もうあらたな一日がはじまっているはず、と。

このおとこの子が、お母さんがいなくなってしまったと泣く
よるくまちゃんを抱く絵が好きだ。
そして、見つかったお母さんが、よるくまちゃんたちを抱っこして
走る絵も好きだ。

わたしの2人のこども達はいつも、
寝返りもうてない程わたしにぴっとりと寄り添って眠る。
わたしの気配にほっとして眠っているみたいだ。

だいじょうぶ。
ママはここにいるよ。
またあしたいっぱいあそぼうねえ。

酒井駒子さんの描くこどもは、
いつもその表情が無垢で、でもするどくてどきっとする。
こどもがこんな眼をしているときがある、と思う。

そうだ。
夜の空には、星が輝いている。
少し外の冷たい空気を吸って
落ちてきそうな程の星を見たら、
わたしも眠ろう。

2001.11.

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