物心ついた時から台所に立っていたし、お弁当も自分で作っていたし、料理は得意な方だと思っていたのに、
家庭を持って三食三度のごはんを作るようになったとき、非常に困った。
献立決めが追い付かない、時間がない、みそ汁の味ひとつ決まらない、流しの食器が片付かない、そしてまたごはんの準備....。
食べるひとの顔色を必要以上に伺いながら一喜一憂し、気付けば自分はすっかり手いっぱいになって食欲をなくしていたり。
嗚呼、思い出しただけでしんどくなってくる。

料理が主婦としての仕事のひとつとなったとき、明らかに台所への向き合い方がかわった。要は要領なのだ。
ひとつひとつの作業をうまく並べてスムーズに流すことができるか。
1年2年がすぎ、ふと水の中から顔を出したように楽になったときがあった。慣れだ。体に染み付くことって、たいせつだ。

最近またそんな風にわたしにとってふう、っと楽になってきたことがある。『パンを焼くこと。』
娘の卵牛乳アレルギーの為に、給食用にパンを自宅から持参しなくてはいけない、という絶対条件が生じたため、
パン作りを日常化する必要があったのだ。

こねはパン焼き機にお願いし、ドライイースト発酵。とりたてて美味しいパンを作っているわけではないと思うのだけれど、
自分の中に一連の流れへの慣れを感じられるようになってきて非常にうれしい。
粉の水分を含んでいる具合や、気温と発酵のバランスなんかも、わたし流に応じることができるようになってきた。
とくべつな行為だったものが、習慣になってきているのだ。なんてうれしいこと!

しんどさやメンドクサさを超えて習慣となったもののその先には、楽しみがある。パン好きな子供達のためにも、
おかずパンや、形を楽しむパンなど、レパートリーを増やしていけたら....。 純粋な向上心だと思う。



2003.7.24










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