自転車にのりたいな、とたまに思う。
車だと窓があって、空気をあまり感じることができない。

バイクの後ろにのせてもらって走る気持ちよさを
春がくるたびに思い出す。
京都の賀茂川沿いの桜並木。
新居のたたみのあおあおとしたにおい。
買ったばかりの布団を干す。
琵琶湖畔ですごすのんびりとした日曜日。

視角的にはあいまいでも、
感覚が覚えてる思い出ってある。
においで、「あーあの頃!」と思い出せる瞬間は、
心底ぞくぞくする。

毎週末通ったファミレス。
涙に呉れた地下鉄。
大きなお腹を抱えて歩いた夕暮れの散歩道。
きりがなく...。
中学時代の3年間は
その頃使っていた洗顔料のにおいの違いで覚えている。

ふうに湿疹が出たときもそうだった。
顔から出る汁のにおい。
体がぶるぶる震えた。

でももうママは強いのです。

ふうは本当によくわらう。

そんなに笑わなくても大丈夫だよ。
ママはちゃんとあなたを大切に思っているから。

あっというまに彼も重たくなった。

新緑あざやかな中での休日。
ふうの吐息のあまいにおいと共にスクラップされて
いつか思い出したときには
なんだか泣いてしまいそうな気がする。




2001.4.30






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