日が落ちようとしている中、落ち葉をふみながら、私と娘はしゃぼん玉を作って遊ぶ。夏の喧噪が過ぎ、しゃぼん玉がより艶っぽく光る、おだやかでいとしい季節である。 しゃぼん玉を上手く飛ばすにはコツがあって、ストローを下向き加減にした方がよりたくさん作ることができる。娘はそれを自分で発見したようだが、小さな背で、かがみこんでムキになって吹くので、すぐしゃぼん玉は地面に落ちて消えてなくなってしまう。わたしはできる限り高いところからストローを吹き、その夢色に光ってうまれた球体をせめて長く長く漂わせてあげようと、いつのまにか夢中になってストローをくわえている。 「しゃぼん玉」の童謡は、産まれて間もなく亡くなった我が子への思いを唄ったものだといつか聞いた。 自分が母になって初めて感じるしゃぼん玉のいとしさがある。そして母と娘が共に必死になってしゃぼん玉を産もうとしている不思議な光景が、秋をより魅力的に感じさせてくれている。
|