11月14日(金)に放送された「美の壺」のテーマは、”レトロな絵本”。
大正から昭和にかけて作られた月刊誌「コドモノクニ」の特集でした。

この時代の絵、なんて豊かな表情をしていることでしょう。
詩や物語に、武井武雄や初山滋、竹久夢二から東山魁夷などが絵をつける、
当時の流行の最先端をいく、子供達のあこがれや好奇心が目一杯つまった本だったようです。
絵と文章とのレイアウト加減は、見事なグラフィックアート。
B4版の雑誌という枠をめいっぱい表現で遊んでいるようで、
今みても心がわくわくします。
西洋文化と古来からの日本文化がいい加減で融合しているような感覚が、
色彩や輪郭にみられます。
感性の優美さやうつくしさに触れると、
こころの豊かさをもちあわせた時代だったのかな、と
安直ながら少しうらやましく感じたりしてしまいます。

番組中、松居直さんがインタビューをうけておられました。
「ぐりとぐら」や「おおきなかぶ」などさまざまな名作絵本を手がけてこられた
大正15年うまれの福音館の編集者のおじいさまです。
10月に、イルフ童画館開館10周年の記念として長野の岡谷で講演会が催されたので、
私も足をはこんで、念願の松居さんのお話にひたってきました。
その松居さんも、幼少時代をこの「コドモノクニ」を読んで育ったおひとりです。
講演会も、イルフ童画館が武井武雄の作品館であることもあるのでしょう、
この「コドモノクニ」を中心におはなしされていました。

わたしが松居さんの存在を知ったのは、2002年にNHKで放送されていた
「人間講座/絵本のよろこび」という番組ででした。

テレビで松居さんは
「絵本とは、言葉の湧き出てくる世界です。
 母がよんでくれる絵本は、生きている喜びを感じさせ、生きる力をくれました。
 母から生命をもらい、生命の器として身体をもらい、つぎに
 その生命を支える力となる言葉をもらったのです。」
と話していらして、
当時ちょうど息子を出産して1年を迎えようとしているところだった私は、
涙がでてしょうがなかったのをよく覚えています。
6年越しに岡谷での講演会に参加できたことは、本当に幸運なことでした。
子育ての中で松居さんの言葉がとても支えになったことを、お伝えし、握手していただきました。

今わたしは圧倒的に、自分で読むために絵本を開くことが多いです。
バーバラクーニーの絵本、シルヴァスタインの絵本などをよく開きますが、
開けばいつでもまっていてくれて迎え入れてくれる絵本自体のもつ懐の深さはもちろん、
洗練された絵と言葉のコラボレーション作品としての力は、
大人の心も生き返らせてくれます。

自らの幼少時代の体験や母への思いから、実感として
絵本とは何かを話してくださる松居さんの言葉には、やさしい心を感じてほっとします。
とても魅力を感じている方のひとりです。



2008.11.20








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