夜、眠れないという息子が、
わたしの布団にはいってきて、
宙をみつめながら突然言う。



「ママ... オレけんだまの本つくりたいんだ。」



その日は昼間、[大道芸フェスティバル] にいって、
一年ぶりに、けん玉名人のパフォーマンスを観てきたのだった。

家に帰ってひさしぶりにけん玉をした息子は、
さいしょはおふざけだったけれど、
そのうち夢中になってきて、
無心で一時間以上もけん玉を振っていた。
しまいには、幼稚園のころにはできなかった「もしカメ」が
連続62回もできたのだった。
わたしとおねえちゃんがだいぶほめたものだから、
うれしかったのだろう。



“けんだまの本、作ったらどう?
ふーちゃんこないだマンモスの本もつくってたじゃん。
あの本ママすごいと思ったよ。”

ちょっと後押ししてみる。
息子は先日、
マンモスと昔の人の暮らしのお話(?!)を作っていたのだった。
ホチキスとセロテープで自己流製本をして。笑


息子のつぶやきはつづく。


「オレ、わざとか、きめるコツとかをかいて本にして、もっとうまくなりたいんだ。」
「でもオレがじぶんでかいても、いみないか。コツをきいてかいたらいいか。そうしよ。」
「オレ明日から、かえってから、みじかいハリが6と7のあいだになるまで、
 けんだまのれんしゅうしよ。」
「けんだまのれんしゅうのためのカレンダー、オレつくりたい。布とかまわりにはって」


妄想は広がる。笑





「ママ?オレなやみがあるんだ。」


なに.........?
なによ....ふうちゃん?


「だってオレやりたいことがいっぱいありすぎて
こまってるんだ。


オレ木でちょきんばことかもつくりたいんだ。
学校で○○ちゃんがつくっててすごいじょうずだったんだ。
だからオレもつくりたいんだ。

それとか、
くちぶえももっとうまくなりたいんだ。
うたとかふけるようになるのは、
もっとれんしゅうして
いろんなおとがでるようになってからかな。
はやくふけるようになりたいな。
そしたらいつもおんがくをふけてたのしいもん。
オレいつも心のなかとか声でうたってるもん。
まっすぐふけてる?」


ヒューヒュー口ぶえを鳴らす息子。
おもわずにっこりの母。


“ふうちゃん、やりたいこといっぱいあっていいね〜”

「え?ママはやりたいことないの?」

.............。



”ママ、サックスもっとじょうずにふけるようになりたいな。”


「だったらサックスの本つくったら?

ここをおしたら、もっといいおとがでたよ、とか
こういうふうにふいたら、いいおとがでたよ、とか。

そうだ、ママがれんしゅうしているうたに歌詞つけたら?
そうしたらもっとはやくおぼえられるとおもうよ。」



たじたじ......。










[大道芸フェスティバル]
で、
去年に引き続き見事なけん玉芸を披露されていた
伊藤佑介さん
ギネス級の技と、
それに磨きをかけるたぐいまれな努力と、
お客様を裏切らない安定感のあるステージ。

こういう生き方を選ぶに至る過程には、
さぞさまざまな葛藤があったことだろうとおもう。

力をもらう。
尊敬する。こういうひと。



息子はこれからどのような生き方をしていくのだろう....。
伊藤さんの姿と重ね合わせて思いをはせてしまう母であった....。









息子が昨日図書館から借りて来た本。
ぴょこたん!このみひかるさん!
わたしがちょうど息子くらいの年齢の頃に、
ぴょこたんがだいすきで、
塗り絵を買ってもらってすごくうれしかったのを覚えてる。


行動、言動、
そのこどものひとつひとつに気を留めると、
その成長がほんとうにほほえましいとおもうし、
じぶん自身も、人生をなぞりかえして、
いろいろなことを思い出しては、
胸いっぱいになったりして....。



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以来すきあらば口ぶえを吹いている息子。

“ふうちゃん、楽器やってみない?
ふうちゃん音楽好きだから、トランペットとかたいことか楽器れんしゅうしてみようよ。”
と息子に話しかけてみた。

「やだ。
オレはおおきくなったら野球せんしゅとサッカーせんしゅになるんだもん。」



.........あっそ。笑




息子の中にめばえてきている自我。
摘み取らないように気を配っていこう。






2007.09.07




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